
「5月病」という言葉、聞いたことはありませんか?
新年度が始まって1か月。
「気分が落ち込む」
「朝起きるのがつらい」
「やる気が出ない」
そんな不調を感じる人が増える時期です。
ある調査では
✅「5月病を経験したことがある」人は約53%
✅「毎年感じる」人も1割以上
✅ 主な原因は「人間関係」「連休明けの憂鬱」
と報告されています。
「5月病」は正式な病名ではありませんが
医学的には「適応障害」や「軽いうつ状態」
「季節性情動障害(SAD)」と関連することがあります。
新しい環境や人間関係、生活リズムの変化によるストレスが原因で
心や体に不調が現れる――それが「5月病」です。
でも実は
「肩こり」「頭痛」「腰の重だるさ」など
“体の痛み”として現れることもあるんです。
この“体の痛み”、単なる疲れではなく
**脳や自律神経の“見えないエラー”**が関係している可能性があります。
🟢「痛みも5月病の症状のひとつ」
これを知ることが、体と心を守る第一歩です。
【📝なぜ5月病で体が痛くなるの?】
ストレスが続くと
➡️ 自律神経が乱れ
➡️ 交感神経が優位に
交感神経が優位になると
✅ 筋肉が常に緊張
✅ 血流が悪くなる
✅ 発痛物質(乳酸やブラジキニンなど)がたまる
その結果
「肩こり」「首の痛み」
「緊張型頭痛」「背中の張り」
「腰の重だるさ」につながります。
さらにストレスが続くと
脳の「扁桃体」「前帯状皮質」が過活動に。
➡️ 痛みを感じやすい“痛み脳”が育つ(Fitzcharles et al., 2021)
【🔍“画像に映らない痛み”とは】
「整形外科でレントゲンは異常なし」
「湿布や痛み止めを出されたけど治らない」
そんな方には
🟠 痛覚変調性疼痛(nociplastic pain)
という状態が隠れていることがあります。
この痛みは
✅ 体にケガや神経の損傷がないのに続く慢性の痛み
✅ 脳や脊髄の痛みの処理が過敏になっている
以前は「中枢性感作」と呼ばれていましたが
現在では「痛覚変調性疼痛」として新しい概念にまとめられています(Murphy et al., 2023)。
この状態では
✅ 脳が本来持つ「痛みを抑える力」が弱まる
✅ 本来なら痛くない刺激でも「痛い」と感じる
さらに
ストレスが続くと、体内の“天然の痛み止めホルモン”=内因性オピオイドの働きが低下し、痛みに敏感になる(Bułdyś et al., 2023)。
👉 「痛みの調整機能がうまく働かないことで、痛みが続く」
👉 「通常の痛み止めが効きにくい」
とされています。
【🌦️気圧の変化も影響】
5月は気温や気圧の変動が大きい季節。
気圧の変化も自律神経に影響し
➡️ 交感神経が優位
➡️ 血流低下
➡️ 痛みの悪化
🟢「5月病」は心だけではなく
“気圧×ストレス”で体の痛みが出やすい時期でもあります。
【💬院長からのメッセージ】
「5月病は“心の病”と思われがちですが
ストレスによる自律神経の乱れは
“体の痛み”としても現れます。
でもこの痛みは、検査では“異常なし”と言われやすく
医師や周りから“気のせい”と誤解され
自分でも説明できない痛みに苦しむ方が多いのです。
私はそうした“見えない痛み”に
科学的に原因を探り、気持ちに寄り添う医療を提供したいと考えています。
痛覚変調性疼痛の治療は
薬、神経ブロック、リハビリ、心理的ケアなど多面的なアプローチが必要です。
放置すると“痛み脳”が完成し
慢性化するリスクがあります。
肩こり、頭痛、腰痛、体のだるさ。
“様子を見よう”が慢性痛の入り口になるかもしれません。
一人で悩まず、ぜひ専門医にご相談ください。」
【🏥当院のアプローチ】
当院「なかお三国ペインクリニック」は
「画像に映らない痛み」にも専門的に対応しています。
痛覚変調性疼痛には
多面的な視点からの治療が推奨されています。
当院では
✅ 薬だけに頼らない
✅ 複数のアプローチを組み合わせる
最新の治療方針を取り入れています。
治療内容 | 特徴 |
---|---|
🔍 エコー検査 | レントゲンでは分からない筋肉や神経の状態を可視化 |
💉 トリガーポイント注射・筋膜リリース注射 | 硬くなった筋肉や筋膜の緊張を緩める |
💉 星状神経節ブロック | 自律神経の調整 |
💊 痛覚変調性疼痛への薬物療法 | 痛みを抑える脳の働き(下行性疼痛抑制系)を活性化 |
🧘♂️ リハビリ | EIH(運動誘発性疼痛緩和)の効果で痛みの抑制機能を高める |
「新大阪・三国で整形外科に通ったけど治らない」
「痛み止めだけでは不安」
そんな方も、ぜひ一度当院へご相談ください。
📞 ご予約 → [なかお三国ペインクリニック ウェブ予約 – デジスマ診療]
【📚参考文献】
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Fitzcharles MA, Cohen SP, Clauw DJ. Nociplastic pain: towards an understanding of prevalent pain conditions. Lancet. 2021;397(10289):2098-2110.
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Bułdyś K, Górnicki T, Kałka D, et al. What Do We Know about Nociplastic Pain? Healthcare (Basel). 2023;11(12):1794.
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Murphy AE, Minhas D, Clauw DJ, Lee YC. Identifying and Managing Nociplastic Pain in Individuals With Rheumatic Diseases: A Narrative Review. Arthritis Care Res (Hoboken). 2023;75(10):2199-2211.