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※この記事は、痛み治療を専門に行う筆者(麻酔科専門医・ペインクリニック医)の考えをもとに作成しています。
✅ この記事はこんなあなたにおすすめ
🔹 腰痛や坐骨神経痛がつらくて仕事や家事に支障がある
🔹 「ブロック注射は意味ない」と聞いて不安
🔹 手術は避けたいけど、改善の見込みがない
🔹 整形外科や整骨院で改善せず、悩んでいる
🔹 信頼できる痛みの治療を探している
① 🔄 ブロック注射は“痛みの悪循環”を断ち切る治療
🌀 痛み → 筋緊張 → 血流低下 → 炎症 → 神経過敏 → また痛み…
このループを断ち切るには、神経の興奮を抑えることが大切です。
💉 ブロック注射は神経や炎症の原因部位に直接アプローチし、体の自然な回復力が働きやすい状態にリセットします。
② 🏃♀️ 今すぐ動きたい人にこそ意味がある!
「1回で治らないなら意味がない」と思われるかもしれません。
でも、育児・介護・仕事などで「今この痛み」を何とかしたい人にとっては、数日でも楽になることはとても価値があります。
私は“今この瞬間の痛みを抑えることは意味がある”と考えています。
③ 📊 科学的根拠と“本当の使い方”
▶ 短期効果:数日〜数週間以内の痛み軽減や動作改善
▶ 中〜長期効果:リハビリや運動療法につなぐ“治る準備”を整える
💡 ブロック注射は、「ただ痛みをごまかす」ものではなく、“治るためのきっかけ”を作る役割があります。
📈 ブロック注射のエビデンスと治療の流れ
疾患名 | 🔸 科学的エビデンス(短期効果) | 🔹 ブロック後の治療戦略 |
---|---|---|
椎間板ヘルニア | ◎ 神経根ブロックにより、数日〜1週間での疼痛軽減(Manchikanti 2012) | ◯ 痛みを緩和し、早期にリハビリを開始できる |
坐骨神経痛 | ◎ 硬膜外ステロイド注射が即時効果あり(Cohen 2020) | ◯ 動作時痛が抑えられ、日常生活復帰を促進 |
脊柱管狭窄症 | ◯ 硬膜外ブロックで歩行距離の一時的改善(Kreiner 2014) | △ 継続治療として運動療法との併用が有効 |
慢性腰痛(非特異的) | △ 一時的な痛みの緩和あり(個人差あり) | △ 慢性痛の悪循環を断ち、活動量の増加につなげる |
※参考文献:
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Manchikanti L et al. Pain Physician. 2012.
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Cohen SP et al. Ann Intern Med. 2020.
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Kreiner DS et al. Spine J. 2014.
④ ⚖️ 安全性と頻度:内服より体にやさしいことも
ブロック注射は週1回程度、必要最小限の薬剤を、エコーや透視を使って安全に行います。漫然と定期的に行うことはしません。
毎日毎日、数か月も痛み止めを飲み続けるより、身体への負担が少ないです。
もちろんリスクはゼロではありませんが、経験豊富な専門医が適切に行えば、安全に実施可能です。
⑤ 🤔 手術前に受けることで“納得感”が生まれる
ブロック注射で症状が改善して、手術をせずに済むことも多くあります。
逆にブロック注射で効果がなければ「やはり手術が必要」と納得して判断できます。
手術前の“確認のステップ”として、非常に意味のある治療です。
🔍 世の中には「手術しなければよかった」と後悔される方も沢山います。
だからこそ、手術の一歩手前にある“確認のステップ”としてブロック注射は意味があると考えています。
🔚 まとめ(“しのぎ”ではなく、治るための起点に)
ブロック注射は…
✅ 一時的に痛みを抑えるだけでなく
✅ 回復を促すリハビリへの橋渡しになる
✅ 手術を含めた治療選択を納得して行うための判断材料
📍「痛みを早く抑えて、その先の“治る”につなげたい」方へ、
ブロック注射は“治るスタートライン”をつくる大切な治療です。