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💭皮膚は治ったのに、夜になるとズキズキ痛い
「昼は何とか我慢できるけど、夜になると痛みが増して眠れない」
そんなご相談が少なくありません。
帯状疱疹後神経痛(PHN:Postherpetic Neuralgia)は、皮膚の発疹が治った後も
神経が過敏な状態のまま残り、夜間に強く痛みを感じやすくなります。
🧠なぜ夜に痛みが悪化するの?
帯状疱疹後神経痛では、神経の過敏化(sensitization)と脳の痛み抑制機構の変化が関係しています。
夜に痛みが強まる理由は、次のような複合的なメカニズムによって説明されています。
① 夜は「痛みを抑える脳の働き」が低下する
私たちの脳には、痛みを抑える下行性疼痛抑制系(descending inhibitory pathway)という仕組みがあります。
しかし夜間や睡眠不足時には、この働きが低下し、痛みを感じやすくなります。
実際に、睡眠障害やストレスによってこの抑制系の活動が弱まることが報告されています(Finan et al., J Pain 2013)。
② メラトニン・セロトニンの乱れによる痛み感受性の上昇
睡眠を司るメラトニンやセロトニンは、同時に鎮痛にも関わる物質です。
夜間のストレスや不安でこれらの分泌が乱れると、神経が興奮しやすくなります。
また、メラトニンは神経障害性疼痛モデルにおいて抗炎症・抗酸化作用を持つことも示されています(Menzies et al., Pain 2016)。
③ 周囲の刺激が少なく、「痛み信号」が強調される
夜は静かで暗く、外的刺激が少ないため、脳が痛み信号に注意を向けやすくなります。
また、横になる姿勢で血流や圧力の変化が起こることで、神経が刺激され痛みが強まることもあります。
④ 睡眠不足が炎症を高め、痛みを悪化させる
睡眠不足が続くと、体内で炎症性サイトカイン(IL-6、TNF-α)が増加し、
神経の興奮性を高めることが知られています(Irwin MR et al., Sleep 2016)。
その結果、翌日の痛みが増幅し、痛みと不眠の悪循環が生まれます。
🔍まとめると
夜の痛みが強くなるのは、
-
痛みを抑える脳の働きが低下する
-
鎮痛ホルモン(メラトニン・セロトニン)の乱れ
-
周囲の刺激が減って痛みに意識が集中する
-
睡眠不足が炎症を悪化させる
といった神経・内分泌・心理的要因の重なりによるものです。
⚠️眠れない夜が、痛みを“慢性化”させる
この「夜の痛みと不眠の悪循環」は、慢性疼痛の進行を助長することが分かっています。
睡眠障害が続くと脳の痛み抑制がさらに弱まり、
わずかな刺激でも強い痛みを感じる「中枢性感作(central sensitization)」が進行します。
🔸つまり、“眠れない夜”は痛みの結果ではなく、
“痛みを慢性化させる要因”にもなるのです。
🩹痛みと睡眠、どちらも同時にケアする治療を
なかお三国ペインクリニックでは、
神経ブロック・薬物療法・リハビリを組み合わせ、
痛みの軽減と睡眠の質改善を同時に目指します。
🔹神経ブロック療法
星状神経節ブロックや硬膜外ブロックなどで交感神経の興奮を鎮め、夜間痛と不眠を緩和。
🔹薬物療法
プレガバリンやデュロキセチンのほか、
不眠・不安を伴う方には鎮静作用のある薬や漢方(抑肝散、釣藤散など)を併用します。
🔹リハビリテーション
筋緊張をやわらげ、血流を改善。
温熱療法や軽いストレッチで、自律神経を整えます。
🌃仕事や日常に支障が出る前に
夜の痛みや寝不足が続くと、集中力や生活のリズムにも影響します。
特に新大阪・江坂・中津などのオフィス街で働く方は、
ストレスや疲労が重なって神経痛が悪化しやすい傾向があります。
夜の痛みを放置せず、早めに専門的な治療を受けることが、
痛みを長引かせないための第一歩です。
🚗アクセス・ご相談について
当院には、江坂・庄内・中津などの周辺地域からも多くの患者様が来院されています。
駐車場も完備しておりますので、お車でも安心してご来院いただけます。
帯状疱疹後の痛みや夜間の不眠でお困りの際は、ぜひ一度ご相談ください。
☀️院長コメント
痛みを“我慢する”ことが、痛みを長引かせることがあります。
夜の痛みは体からのSOS。
一人で抱えず、早めにご相談ください。
📚参考文献
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Johnson RW, Rice AS. Clinical practice. Postherpetic neuralgia. N Engl J Med. 2014;371(16):1526-33.
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Finan PH, Goodin BR, Smith MT. The association of sleep and pain: an update and a path forward. J Pain. 2013;14(12):1539-52.
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Menzies V, et al. Melatonin and pain: potential mechanisms of action in neuropathic pain. Pain. 2016;157(1):70–75.
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Irwin MR, et al. Sleep disturbance, sleep duration, and inflammation: a systematic review and meta-analysis. Sleep. 2016;39(5):1129–1139.
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中島一郎ほか. 帯状疱疹後神経痛診療ガイドライン2023. 日本ペインクリニック学会.
🏥なかお三国ペインクリニック(阪急三国駅 徒歩圏内/新大阪・江坂・庄内・中津からもアクセス良好)
ペインクリニック専門医が、夜の痛みと眠れないつらさに寄り添います。






